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ASTD 2012 @ Denver, Day 4, May 9


ついに最終日・・・。

今朝は Gamification を使ってエンゲージメントとパフォーマンス向上を、
というテーマのセッションでスタート。
カナダの Mary Myers氏と、Robert Pearson氏。
クライアントのフォードで実践した事例紹介でした。

そもそも Gamification って何?

彼らの定義によると、行動変容を起こすために、
ゲーム要素を本来ゲームではない場面に取り入れること。
フォードの事例では、セールスの人向けの学習用のオンラインゲームでした。

Fun can change behavior. 「楽しむこと」で人の行動が変わる。
これをFun Theory (理論)と呼ぶ。

セッション中に紹介された映像がとても楽しかったです。
ストックホルムの地下鉄で、階段とエスカレーターが併設されている場所。
みんなエスカレーターで上がる方が楽なので、階段を使う人はあまりいません。
どうやったら階段を使う人が増やせるか?
階段をピアノの鍵盤に見立てて、踏むと音がなるような仕掛けを作り、
階段の表面も白と黒で、見た目に鍵盤とわかるようにしました。
歩くと音がする!
というので、一気に階段を使う人が増え、
みな楽しそうに踊ったりしながら階段を上り下り。

もう一つがごみの分別。
面倒だから分別せずに捨てる人も多い中、
どうすればきちんと分別してもらえるか?
ごみ箱に、「缶」「ビン」「ペットボトル」・・・
それぞれ別々に入れる口があるのですが、
正しく分別して入れたら、音が鳴って、光って、
得点を獲得することができる、
まさしくゲーム機のようにしてしまいます。
「ビン」のところにビンを入れると、
パラララッララー♪ (←映像では音は聞こえませんでしたが)
10点獲得!!
・・・といったイメージです。

おもしろい!
・・・すると、わざわざそのごみ箱に捨てに来る人が増え、
あっという間に正しく分別されたごみがたくさん!

面倒だったり、やりたくないことだったりして、
なかなか人がやろうとしないことを、ゲーム感覚で楽しめるようにすると、
進んでやってくれる。

Fun can change behavior. 「楽しむこと」で人の行動が変わる。
Fun Theory ・・・ いいですねー!!

オンラインゲームを開発するというのは大掛かりなので、
できる環境・できない環境があるかと思いますが、
研修にゲーム性を採り入れる、というのは活用の場面が多いと感じました。
特に、専門分野の知識吸収、コンプライアンスなど、
ドライになりがちなコンテンツだったり、
上司と部下のコミュニケーションのようにシナリオ展開を考えられる内容は
選択肢からベストなものを選ぶ、という形に作りやすいので、
そこにゲーム性を加えたものにできると思いました。

おもしろかったのが・・・
開始直後に、こんな経験がある人いませんか?シェアしてください、と
スピーカーが問いかけたとき、すぐには手が挙がらなかったのですが、
最初に手を挙げて発言した人に、
スピーカーがお礼にReese’sのピーナツバターチョコをあげたのです。
すると、その後、とたんにこんな感じ。

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何人もどんどん発言していました。
研修でゲームなんてどうなんだろう、という心配があると言いながら、
やっぱりご褒美は嬉しいしから、積極的になってるじゃないですか!(笑)。

次に参加したのは、Doug Stevenson氏のウェビナーでのストーリーテリング。
彼はストーリーテリングの分野で名を知られた人ですが、
最近の流れで、やはりウェビナーでの要望が多いということで、このテーマ。

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ウェビナーというとても制限が多い中で、どうやってストーリーを語って
伝えたいポイントをインパクトを持って伝え、記憶に残すか、というセッションでした。

一例をやってみてくれたのですが、やはりさすが、どんどん彼のストーリーに
引き込まれ、オーディエンス全体が感情移入していました。

理論、正論を語っても、いや、まぁ、それはそうだよね、と、なりがちなことを、
自身の経験にひもづけて経験談を語ることで、大きく納得できる威力が、
ストーリーテリングにはあります。
私ももっとスキルを磨きたいな、と思う分野の一つです。

クロージングセッション前の最後のセッションは、
ボブ・パイク氏の娘で、ボブ・パイク・グループのヴァイスプレジデントの
ベッキー・パイク・プルース氏の、ウェビナーにおけるパワーポイントスライドの
作り方。使い方のセッション。

ボブの理論やテクニックも、世の中の流れに沿って、ウェビナーでの活用についても
積極的に行っていて、ベッキーがそれをけん引しています。

まだ30代なのですが、先日、Training Magazineという業界誌で、
40歳以下のトレーナーのトップ40人に選ばれていました。

ウェビナーだと、参加者がウェビナーに集中しているのか、
それともメールや他の仕事をしながら適当に参加しているのか、
トレーナーには見えない部分が大きくなります。
だからこそ、ボブの巻き込む手法を活用する余地が大いにあるのです。

箇条書きのつまらないスライドではなく、
ウェビナー自体をどういう構成にして、どういうスライドにすればより効果的か、
ゲームあり、実例ありの、楽しく充実したセッションでした。

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そして、いよいよクロージングのセッション。
心理学の専門家、Heidi Grant Halvorson氏。
成功する人は何が違うのか・・・。

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人は、ストーリーを語るのが好きである。
他の人に語ることもあれば、自分で自分について心の中で語ることもある。

私ってこうだよね。
私ってこうだから。

でもそれは、自分で自分を枠にはめてしまっていたり、思い込みだったり、
言い訳だったりすることも少なくない。
・・・なるほど、確かにその通りですね。

人は、大きく2つに分けると、Goodでありたいマインドセットの人と、
Betterでありたいマインドセットの人がいるそうです。

Goodでありたい人にとって大切なのは、自分以外の人からの評価。
周りが自分をどう見ているか。
良い(Good)な評価をされたい。

それに対して、Betterでありたい人にとって大切なのは、自分との比較。
過去の自分と今、未来に向けての今、比較基準は自分、

Goodでありたいマインドセットの人は、
テストの結果が良くない、ネガティブなフィードバックをされる、
などの状況で非常にストレスが高まります。
他の人が評価基準であるため、他の人からのネガティブな評価を
受けることで自分を否定されているように感じるからでしょう。

それに対してBetterでありたいマインドセットの人は、
それを成長の機会だととらえることができる。
今より良く(Better)になるために何ができるかを考え、
前向きに行動し、よりよい成果を出そうとする。

このマインドセットの違いがどんな差を生むのか、
コロンビア大学の学生にいろいろな実験を行い、どんな結果が出たか、
そこから何が言えるのかをシェアしてくれました。

さらに、脳の思考パターンとの関連性もあるのです。
脳は物事をパターン化します。
こういう状況になったら、次にこれをする。その後、こうなって、こうする、と。
つまり、Goodでありたいマインドセットの人には、
ネガティブなフィードバックをもらったら、こう感じて、こんな表情を作って、
こんなことを言って・・・というパターンが脳の中にできてしまうわけです。

その脳のパターンを書き換えないことには、行動パターンは変わりません。
脳の中のパターンを書き換えるには、こうしたい、と思うだけではだめで、
行動パターンを変えるために、意図的・意識的にアクションを変える必要がある。

昨日のブレインフィットネスのセッションで聞いた話と、大きな一貫性があります。

彼女のメッセージは、だからこそ、
自分の成功を具体的にイメージしてはいけない、というものでした。
具体的にイメージしないと実現しない、とよく言われるけれど、
そのイメージ自体が、自分に勝手に限界を設定しているかもしれないからだそうです。

その代わりに、成功に向けての具体的なステップをイメージしましょう、と。
つまり自分の具体的な行動をイメージし、その通りに行動する脳のパターンを作ろう、
ということだと理解しました。

自分が興味を持って参加しているから、という側面はもちろんあると思いますが、
脳科学に基づいた人間の行動変容についての話が、増えているように感じます。
脳科学の発展とともにいろいろなことが証明されてきている、とも言えると思います。

今年の参加者数も発表されていました。

インターナショナルでは、相変わらず韓国からの参加者がトップでした。

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今年も、本当に刺激的な4日間のカンファレンスが終了しました。
今年参加したセッションを通して、強いメッセージとして感じたことは、
3日目のブログにも記載しましたが、このようなことでした。

謙虚であること
自分をよく知ること
自分の強みを活かすということ
学び続けること
変化し続けること
「楽しく」学習すること
ポジティブなサイクル、パターンを脳に作ること

自分自身にとっても大切なことなのですが、
ワークプレイスラーニングプロフェッショナルとしては、
それを学習の環境にどう創り出すがが求められている、ということですね。

私自身にとっては・・・・

本物だからこそのパワーを感じることができ、
心の底から新しい刺激や学びや、何よりそのパワーを感じることができる、
とてもとても幸せな4日間でした。

ここに来る度に、自分はどこに向かいたいのか、
何をして人の役に立ちたいのかが、まっすぐに、透明になっていく感覚があります。

来年は5月19日~22日、テキサス州ダラスです。
ダラスは、2006年に初めてASTDに参加し、ボブ・パイクに出会った思い出のセッションの場所です。
その90分のセッションが、私の人生に大きな転機をもたらし、
進む道を見つけたと言っても過言ではない出会い。
その場所に戻るのが今から楽しみです!


  • かわ より:

    詳細なASTDのレポートをここに見つけました。他からの情報も得ていたのですが、大変良くわかりました。ありがとうございました。

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